税務調査が最も多いシーズンは、春(4~6月)と秋(9~11月)です。先日、「税務調査の連絡があったので心配で相談させてください」と、ある社長さんが来ました。「なんでウチに税務調査が来るのだろう?」と疑問のようでした。
税務調査に入られやすい会社には、理由があります。しかし、税務調査が目的ではなく、税務調査が来ることもあります。税務署は日頃から、脱税者をつかまえるため、あらゆる情報を収集しています。たとえば、税務調査では、その会社の取引先や取引金額も情報として収集します。
また、税務調査に入らなくても、雑誌・チラシの広告から情報収集したり、街を歩いていた際に見かけた駐車場の台数から、持ち主が確定申告をキチンとしているかまでチェックしているのです。
飲食店の場合には、事前に来店して飲食していたりもします。つまり、税務署にとっては、常日頃から収集している情報が大事であり、その情報を取るために、かなりの努力をしているのです。 そこで行われるのが「情報収集のための税務調査」です。
その会社に税務調査に行くのですが、その会社が適正な申告・納税をしているかは、ほとんどチェックせずに、その取引先や顧客データを収集しているのです。本当に迷惑な税務調査なのですが、実際にはこのような税務調査もあるのです。
■保険の代理店のところに税務調査に入って、顧客リストを情報収集
→節税目的や資産家を洗い出しています。
■証券会社やFX会社
→副収入を得ているのに確定申告していない人を洗い出しています
■不動産仲介会社
→不動産を売却・購入したのに確定申告していない人を洗い出しています。
この他にも情報収集のための税務調査は行われています。もちろん税務署は、「情報収集のための税務調査なので、御社には関係ないですよ」とは言ってくれません。
また、せっかく税務調査に訪問しているので、その会社の調査も行ないます! 税務調査が始まってみないと、「まさか情報収集のためだけなの?」ということはわかりません。
時間が取られて迷惑な反面、自社に追徴税額があまり発生しないので、 少し喜んでもいい種類の税務調査なのかもしれません。 ただ・・・、関わる時間が勿体ないですね。