税務調査の現場で調査官は何を見ているので しょうか? 「税務調査なんだから、すべてを見られるんでしょ?」と思っている方が多いですが、これは半分正解で、半分ちがいます。 税務調査は、「調査」であって「監査」ではないのです。
監査とは、「あるものをチェックして、間違いを発見し正すこと」です。例えば、本当は接待交際費に計上すべき経費を会議費 に計上していたとします。 どっちでも同じようなものかもしれませんが、税金の計算上は違います。同じ経費でも、接待交際費であれば全額経費にすることはできないのです。
つまり、会議費を接待交際費にするだけで税金が増えます。 帳簿上の誤り(あるもの)をチェックし、間違いを見つけるのですから、監査です。
一方、「調査」は違います。「ないものを見つけること」が調査なのです。
例えば・・・
現金で受け取った売上が計上されていない。
取引先から受け取ったリベートが社長個人の口座に入金されている。
架空の仕入が計上されている。
税務調査とは、ただ帳簿をめくって誤りを見つけるだけではなく、帳簿にない本当の取引 まで見つけようとする行為なのです。
では、税務調査で調査官は何を見ているのでしょうか? 帳簿や領収書などの資料は当然ながら、調査官が注意していることは2つあります。
社長の発言から、帳簿にはないお金の動きや、取引の事実を発見するためです。 そのためにも、調査官に対する発言は注意です。
年末に取引先から送られてくるカレンダーを使っている会社も多いはずです。そのカレンダーには取引先名が入っています。 しかし、その会社との取引が帳簿に載っていなかったらどうでしょうか、怪しいですよね?
会社の帳簿に載っている高級車。 会社の駐車場になかったらおかしいですよね? つまり、調査官は会社にある物と、ない物の両方を見ているのです。
実は、調査官が「社長の発言」や「会社の物」を重要視する理由があります。それは、1回の税務調査ですべてをチェックするのは不可能だということです。 税務調査というのは、変なお金の流れや取引が出てこない限り、2~3日で終わります。小規模な会社やシンプルな事業内容の会社であれば、1日で終わることもあります。
調査官も調査件数のノルマがあります。だからこそ、調査官側としても「効率よく」税務調査をする必要があるのです。時間の関係上、調査官は帳簿にない取引を「発言」や「物」で探そうとするのですね。
さて、結論としては税務調査官も機械ではありません。 恐れる必要は全くなく、キチンと抑えるべきポイントを抑えていれば、問題はありません。ただ・・・、関わる時間が勿体ないですね。そのような場合は、「書面添付制度」をお勧めします。