まだまだ質問いただく【インボイス制度】について

インボイス制度について、まだまだご質問をいただく事が多いです。


このブログで「まとめ」として、カンタンに説明したいと思います。

よく頂く質問と回答(Q&A)形式で記載します。

Q1、そもそも、インボイス登録した方が良いの?(この質問、多いです!)

A1,私は3つのパターンで断言しています。

パターン1、
そもそも消費税課税事業者の場合

→登録しましょう!
理由は、登録しないと取引先から消費税控除できない、と苦情が来てしまうからです。

パターン2、
免税事業者で取引先に事業者が多い場合

→登録しましょう!
理由は、登録しないと取引先(売上先)から消費税控除できない、と苦情が来てしまうからです。

消費税の負担よりも取引先が離れてしまう(売上が減る)ダメージが大きいからです。
また、消費税の負担を軽減する制度もあるからです(このメールの最後で説明します)

パターン3、
免税事業者でお客さんが事業者ではない(少ない)場合

→登録しないで良いです!
理由は、登録しなくてもお客さんから苦情が来ないからです。

その代わり、お客さんから消費税をいただく事はできませんのでご注意ください。
(請求書や領収書に消費税の記載はしないようにしてください。
 小売業や飲食店などが、このパターンと思います。)

Q2,今は消費税を納税していないけど(つまり、免税事業者ですね)
  もし、インボイス登録したら消費税はいくらになるの?

A2,ケースバイケースなのです・・・。

まず、消費税の計算方法について説明します。
所得税の計算方法は2種類あります。このどちらかの計算で消費税の納税額が決まります。

A.本則課税方式(届出しないとコレになります)
実際の取引をもとに、納める消費税を計算する方法です

[お客さんから預かった消費税]-[仕入等で支払った消費税]=納税額

B.簡易課税方式(届出が必要です)
 Aの計算での[仕入等で支払った消費税]の集計をしない簡便的な方法です

事業の種類ごとに決まった割合を[仕入等で支払った消費税]として計算します。

[お客さんから預かった消費税]-[業種別控除消費税※1、]=納税額

※1、業種ごとの業種別控除消費税は以下です(正式には「仕入税額控除額」といいます)

卸売業   90% →納める消費税は預かった消費税の10%
小売業   80% →納める消費税は預かった消費税の20%
製造業   70% →納める消費税は預かった消費税の30%
飲食店   60% →納める消費税は預かった消費税の40%
サービス業 50% →納める消費税は預かった消費税の50%
不動産業  40% →納める消費税は預かった消費税の60%

たとえば、卸売業の場合です

業種別控除消費税は90%なので・・・
[お客さんから預かった消費税]ー[業種別控除消費税90%]=納税額

つまり、[お客さんから預かった消費税]×10%が納税する消費税となります。

この簡易課税方式を選択する場合の手続き、メリット・デメリット、本則課税方式と簡易課税方式のどちらが有利?は、次の機会に説明しますね。

Q3、インボイスの登録の期限はいつまで?

A3,インボイス制度は、2023年10月から開始となります。
  当初は3月末が期限でしたが、9月末までに手続きすればOKとなりました。

Q4,なぜ、インボイス制度ができたの?

A5,不公平だと言われている「益税※」をなくす為です。(益税については後述します)

消費税の仕組みを取引順で、カンタンに説明します。
(すべての事業者が本則課税の前提です)

消費税は、以下の(1)~(4)の流れで転嫁されて納税されます。

1)製造者
 製品を材料費なしで1,000円(消費税 100円)で卸売業者に販売
 →消費税100円を納税→A

2)卸売業者
 1,000円(消費税 100円)で購入した製品を
 2,000円(消費税 200円)で小売業に販売
 →200円-100円=100円を納税→B

3)小売業者
 2,000円(消費税 200円)で購入した製品を
 3,000円(消費税 300円)で消費者に販売
 →300円-200円=100円を納税→C

4)消費者
 税抜き3,000円(消費税 300円)で製品を購入
 →納税はしないが、消費税300円を負担

※消費税を納税するのは事業者(ABCの合計300円)です。
 しかし、負担するのは消費者となります。

結果的に、消費者が負担した300円と事業者が納税した消費税の合計額300円は同じになるという仕組みです。

上記の(1)~(3)の事業者がすべて課税事業者で納税すれば、消費者が負担した消費税と納税額は一致します。

しかし・・・
たとえば、上記の(3)小売業者が免税の場合は納税がされず、
消費者が負担した300円に対して、国に納税される消費税は200円となってしまいます。

※この(3)小売業者が納税するハズの消費税100円は,合法的に利益として手もとに残ります。(これを「益税」といいます)

インボイス制度の導入は、消費税を納税しない事業者が消費税を上乗せしてはダメ(益税が発生して課税の不公平になる)という課税の公正性を図るためとの理由からですね。

この「益税」を解消する為に、インボイス制度ができました。
(というか、できてしまいました・・・。インボイスとは送り状という意味らしいです)

■免税事業者だけど、インボイス登録して課税事業者となった場合の軽減措置

上記のA1,のパターン2.の部分で、「下記で説明します。」と書きながら長文となりスイマセン・・・。

本来は免税事業者だけど、取引先に事業者が多いのでインボイス登録した場合(課税事業者となった場合)

特例として簡易課税制度とは別に
[お客さんから預かった消費税]×20%の計算でOKという特例ができました。

となると・・・

〇本則課税方式
〇簡易課税方式
〇今回の特例

の3種類から選択可能となりますが、どれが有利なのか事業者さんによります。

したがって、次の機会に説明させてくださいm(__)m

■ご挨拶
カンタンに、と書きながら長文になってしまいました。。。

この内容で、少しでもご理解が深まれば幸いです。

2023年3月10日

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