「利益と所得のちがいって?」
経営する上で、分かっているようで分かっていない項目です。
「利益と所得のちがいって?」
「赤字なのに、なぜ税金がかかるの?」
利益とは、収益から費用を差し引いたもの です。
これを表示するものが、決算報告書です。
所得とは、税率をかけて税金を計算する金額 です。
これを表示するのが、法人税の申告書です。
よく決算申告書と呼ばれるので、混同してしまいがちですが、性格も目的も違うのです。
今日は、「利益と所得のちがい」について、解説します。
「利益と所得のちがい」は、
「決算報告書と申告書のちがい」であり、
「会社法と法人税法のちがい」でもあります。
まとめます。
例で説明した方が分かりやすいと思うので、例で説明します。
(1)決算報告書
○根拠法 会社法
○目的 利害関係者(株主、金融機関、取引先)に対して企業の財政状態・経営成績の明確な開示するため
○収益-費用=「利益」を導きます。
(例)
売上高 100,000,000円
仕入高 30,000,000円
役員報酬 10,000,000円
給与 30,000,000円
地代家賃 10,000,000円
寄付金 5,000,000円
(個人的な寄付金)
交際費 3,000,000円
旅費交通費 2,000,000円
その他諸経費 5,000,000円
当期利益 5,000,000円
(2)法人税申告書
○根拠法 法人税法
○目的 公平な課税
○利益+加算項目(法人税法上、経費とはならない項目など)-減算項目(法人税法上、収益とはならない項目など)=「所得」を導きます。
当期利益 5,000,000円
(加算項目)
寄付金 5,000,000円
交際費 300,000円
課税所得金額 10,300,000円
(1)利益金額は、5,000,000円
(2)所得金額は、10,300,000円
法人税額等 約3,586,000円(約35%)になります。
(法人税・事業税・法人住民税)
しかし、利益金額に対しての割合は、約71%!!
たとえば、利益がでていなくて赤字の場合でも、所得金額は黒字で、税金がかかることもあるのです。
「利益」と「所得」、この違いをキチンと認識して行きましょう!!
(利益と所得の仕組みをご理解いただくために、寄付金の取扱いについて極めて簡易に説明していますので、ご了承ください。)
2008年12月1日