あと4年?まだ4年?制適格退職年金(適年)廃止

社会保労務士の荒木さん記載の「制適格退職年金(適年)廃止」を記載します。

今世間を年金問題が騒がしていますが、多分もう2~3年くらいしたら、退職金問題でマスコミが大騒ぎすることになるでしょう。

東京都の調査によると、退職金制度を持って、従業員に退職金を支払っている企業の割合は83.4%あるそうです。退職金を支払う側にとっては一度の多額の資金が必要になりますので、多くの企業は事前に何らかの方法で、退職金を支払う準備をしています。

良く聞く資金準備の方法としては、中退共や厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金(日本版401K)などがありますし、生命保険を使った準備の方法も一般的なものとなっています。

なかでも多くの企業は税制適格退職年金(適年)という制度を用いて退職金の準備をしています。

適年は1962年に始まった制度で、掛け金が全部損金で処理できて、退職金という一時的に多額な支出が必要なものを平準化できる特性があります。

これだけなら他の中退共なども同様なのですが、適年は制度設計の条件が緩やかで比較的自由な給付設計が出来ることから、大変多くの企業で適年を採用していました。

冒頭で退職金問題で大騒ぎといいましたが、実はこの適年を始めとして退職金には大きな問題が潜んでいるのです。

退職金問題は制度の問題と資金準備の問題の二つに分かれていて、制度自体に大きな問題があることと、その制度に従った資金の準備をする適年などが、運用面で大きな損失を抱えていることです。

制度の問題に関してはここでは余り触れませんが、多くの企業では青天井式の制度になっているので見直しが必死です。

それより深刻な問題は、制度に従った資金準備の方法として、5.5%で運用していたのですが、現在はわずかに1%しかなく、実態は大きな隠れ損を抱えているのです。

退職金の資金準備の方法は、国が認め、国が勧め、保険会社などが運用してたのに、損失を被るのは会社だけでなのです。

言い方を変えると、もらえる筈の退職金が予定通りにはもらえなくなるかもしれないということです。

多くの企業は退職金という隠れ損失という爆弾を抱えたままであるのですが、大きな問題にはなっておらずにいます。

年金問題の影に隠れているので今は目立ちませんが、まもなくその隠れ損失が表に出てきて、大きな社会問題となるでしょう。

というのは、制適格退職年金(適年)があと4年で廃止になるからです。

適年で資金準備している企業は、否応にかかわらず、4年以内には必ず移行措置を完了しなければなりません。

4年という数字、どう思いますか?

「まだ4年もある」でしょうか。私には「あと4年しかない」というか、「既に6年も経ってしまった」という気持ちの方が強くなっています。

なぜ6年もというかというと、既に6年前には適年の廃止は決定しており、10年間の暫定期間に現在置かれているのです。この10年の間適年の運用状況は極めて悪く、逆ザヤの運用が続いています。

単に10年間で移行を完了すれば良いという話ではなく、本来ならば一刻も早く移行を終えなければ、どんどん損失が膨らんでいるのです。

でも、現在までに適年に対し何らかの対策を完了している企業は半分しか無く、残っている企業の多くは従業員100名以下の中小企業となっています。

正式廃止まで「あと4年しかない」のですが、移行にかかる期間を考えると、4年いう期間に残された企業の対策を完了することは極めて厳しいと、我々関係者の間ではまことしやかに囁かれています。

財政状況が豊かで対策に問題ない企業はもちろんですが、財政状況が厳しく相当な外科的措置を打たなくてはいけない企業ほど、対策を急ぐ必要があります。

年金問題で老後の不安感が日本中を停滞感で蔓延させているなか、退職金も不安であれば、従業員は不安だらけになって、諦めの気持ちから仕事に身が入らないという事態に陥ります。

場合によっては大きな痛みを伴うと予想されますが、今の痛みよりも問題を先送りすることの方が遥かに大きな痛みを生むこと間違いありません。

「まだ4年ある」でなく、「もう4年しかない」のです。

一刻も早く対策に動き出すことを願って止みません。

2008年2月12日

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