税務調査で困ってしまう事(取引先への反面調査)
■反面調査って何?
税務調査にはいろいろな種類のものがあります。
前回は、無予告調査の対応について説明しました。
今回は、「反面調査の対応」について説明します。
そもそも「反面調査」って何でしょうか?
反面調査とは、税務調査に入った会社の取引内容が本当かどうかを
その会社の取引先や銀行に確認する行為です。
実際に調査官が取引先に行き確認をする反面調査や
郵送の書面で内容を確認をする反面調査などがあります。
しかし、反面調査を行われると困ってしまいます。。。
反面調査によって、取引先や銀行などとの関係を壊される可能性があるからです。
「あの会社は大丈夫か?何か悪いことをやっているんじゃないか?」
などと、不要な不信感をもたれてしまう可能性があるからです。
しかし、反面調査は法律でも認められています。
では、なぜ反面調査が法律で認められているのでしょうか?
たとえば、税務署がある会社に税務調査に入った。
そして、調査官が、請求書や領収書の偽造・ねつ造を見つけました。
→このようなケースでは、提示した書類の信憑性がない訳です。
調査官としては取引先などに反面調査をしなければ、
正確な金額がわからないから、反面調査を行わなければなりません・・・。
■反面調査が認められる場合
では、反面調査は「どんな場合でも」認められるのでしょうか?
反面調査が法律上認められているからといっても、
無制限に認められているわけではありません。
税務署(国税局)の内部には、反面調査に関する3つの「規則」があります。
(1)昭和36年7月14日国税庁長官通達
「いたずらに調査の便宜のみとらわれ、納税者の事務に必要以上の
支障を与えることのないよう配慮し、ことに反面調査の実施に当
っては、十分にその理解を得るよう努める」
(2)昭和51年4月1日税務運営方針の一部抜粋「調査方法等の改善」
「税務調査は、その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との衡量
において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と
協力を得て行うものであることに照らし、一般の調査においては、
事前通知の励行に努め、また、現況調査は必要最小限にとどめ、
反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って
行うこととする。」
(3)平成12年7月個人課税事務提要、平成13年7月法人課税事務提要
「取引先等の反面調査を実施しなければ適正な課税標準を把握する
ことができないと認められる場合に実施する」
つまり、「反面調査が必要なとき」とは、請求書や領収書の信頼性がないときや、
保存できていないような場合なのです。
つまり、請求書や領収書をきちんと調査官に見せて、金額も日付も確実に
わかる場合は、そもそも反面調査に行く「必要がない」のです。
これら3つの規則があるにもかかわらず、守らない調査官がいるのです。
「反面調査に行きますよ!行かれたくないなら・・・」なんてことを言う調査官がいたら、
「私は反面調査に規則があるのを知っていますよ。守ってください。」
とキチンと主張してください。
会社の信用を守るためにも、ぜひ覚えておいてくださいね。
2012年11月1日