「経済危機対策」における税制上の措置その1

景気悪化を受けて、6月に景気を喚起する項目が成立しています。

「経済危機対策」における税制上の措置が、大きく3つ成立しました。

今回は、そのうちの1つの住宅を取得するための資金贈与の特例について書きます。

適用時期:平成21年1月1日から22年12月31日までの期間

対象者:20歳以上の者が、その父母または祖父母から住宅を取得するための金銭の贈与を受けた場合の非課税枠が500万円拡充されました。

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。

(1)暦年課税方式

贈与税は一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額

から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。

(この場合、贈与税の申告は不要です。)

今回の改正では、この110万円の基礎控除に加えて、新たに拡充された非課税枠500万円

を加えた610万円が非課税となりました。

「改正後の非課税枠」

基礎控除額110万円+非課税拡充枠500万円=610万円

この対象は、住宅の取得にかかる部分だけに適用されます。

したがって、住宅の取得費以外(引っ越し費用など)の部分には適用されないのでご注意ください。

また、この制度の適用を受けるには、贈与税の申告が必要です。

(2)相続時精算課税方式

この相続時精算課税方式は、いわば“生前相続”です。

贈与をした方が亡くなった場合は、その贈与した金額は相続財産に含んで

相続税の計算をすることになります。だから、生前相続なのです。

「改正前」 3500万円の特別控除額

贈与者が亡くなった場合は、この3500万円の贈与額を相続財産に含んで相続税の計算をします。

「改正後」 3500万円の特別控除額+非課税拡充枠500万円=4000万円

住宅取得資金として贈与時点で税金のかからない範囲が4000万円になりました。

取扱の内訳

○3500万円の特別控除部分 →従来通り、相続時には、相続財産に含む。

○500万円の非課税部分 →相続時には、相続財産に含まない。 

この対象も住宅の取得にかかる部分だけに適用されます。

また、贈与税の申告も必要です。

贈与税の参考その1

65歳以上の親から贈与を受けた場合(受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子の場合)、2500万円の特別控除枠の相続時精算課税方式もあります。

この場合、資金使途は住宅の取得資金に限定されません。

上記の3500万円との併用はできません。

贈与税の申告は必要です。

贈与税の参考その2

法人からの贈与により取得した財産や夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者の間で生活費や教育費に充てるため取得した財産には贈与税はかかりません。

(法人から財産をもらった場合には贈与税ではなく所得税がかかります。) 

2009年7月3日

マンガで分かる税務調査省略
「誰が対応するの?」スタッフ紹介
お客様の声「蛭田会計の特徴」
616人の社長が購読中 「安心経営」通信 クリックして無料購読申し込み