不動産購入に伴う資金繰りの注意点
先日のブログで、
減価償却費の計上額の大小により、課税所得金額に差が生じ(当然ですが)、資金体力に差が出ますよ。
それは、減価償却はキャッシュの支出とは無関係のため、減価償却をするのと、しない(できるのと、できない)のでは、税金という資金流出額に影響があるのです。という記事を記載しました。
今回は、不動産購入の場合について記載します。
なんと、土地や他の不動産を購入すると、企業の資金体質が大きく変化します。
場合によっては、破綻してしまいます。
よく、自社ビルを建てた企業が、建てた後に業績が悪化してしまう。というお話を聞きます。
それは、自社ビルを建てて、社長や従業員さんの気が緩んだとか、周りの対応に変化があった。という事ばかりではないのです。
実際に、資金の動きが変わるのです。
以下に、例を記載します。留保資金(手残りのキャッシュ)に注目してください。
1)地代を賃借のケース
売上 10,000
経費 6,000(うち、地代が1,000)
税引き前利益 4,000
税金 1,600(40%で計算してます。)
税引き後利益 2,400(=留保資金)
2)土地を借金して購入し、年間返済額が1,000のケース
売上 10,000
経費 5,000
(借入金返済は経費になりませんので、(1)より1,000減ります。)
税引き前利益 5,000
税金 2,000
税引き後利益 3,000(=留保資金ではありません!!)
借入金返済 1,000
留保資金は、3,000-1,000=2,000になります。
(1)と(2)を比較すると、400の差が生じていますね。
土地の賃借金額と借入金返済額を合わせても、借入金返済額は、経費(損金)になりませんので、課税所得が増加します。
従って、
税金が増える→資金流出額が増る→資金留保額が減る
となります。
本来は、固定資産税などもかかるため、経費は例のパターンよりも増えるでしょうが、資金流出額も増えるため、今回は考慮しませんでした。
購入する不動産が、減価償却計上できる建物の場合であれば、
減価償却費=返済額 と設定できれば、賃借している場合と同じケースになるわけですから、上記(1)と(2)のような“ひずみ”は生じません。
このひずみは、土地の場合に明白に起こります。
土地は、減価償却できません。
当然ですが、使用により、価値は減らないためです。
不動産購入を検討されている場合は、購入の効果に対しての、購入後の資金計画について、慎重にご検討下さい。または、ご相談下さい。
2006年10月27日