エコノミックアニマル復活!?(働き方を考える)

中国やインドに押されて、日本のシステム開発業界は地盤沈下しつつある状況の中にあって、特殊(?)な組織力で業績が好調な会社を紹介します。

株式会社ヘッドウォータース

業績も好調です。2009年度就活アワードを受賞しています。

就活アワードとは、澤田秀雄エイチアイエス会長、近藤太香巳ネクシィーズ社長らが選考委員となり、「学生が就職すべき、働きがいのある成長企業」を選ぶものです。

ヘッドウォータースの就職説明会は、いつも異様な熱気に包まれるそうです。

なぜならば、篠田代表が1時間以上、学生に厳しい言葉を投げかけ続けるからだそうです。

「日本にはもはや、のんびり余暇を楽しみながら飯が食える国じゃない」

「うちには、ワークライフバランスなどない。日本で1番厳しい会社だと思ってくれ!」

話の途中で怖じ気づき、足早に会場を去る学生もいるが、多くは真剣な眼差しで最後まで聞き入り、立ち見が出るほど人気が高い。

さて、この株式会社ヘッドウォーターズの成長の特徴とは何でしょうか?

システムエンジニア(SE)の業界では、「35歳定年説」という言葉があるそうです。

技術の進歩が激しいため、現場で勝負できるのは35歳までという事です。

当然、SE業務だけを行なってきた人は、管理職にも就けず行き場がなくなってしまいます。

今後は中国やアジアのSEとの勝負も激化します。

そのような状況で、どうすれば企業は生き残れるのでしょうか?

株式会社ヘッドウォータースの篠田代表は2つの方法を提示しています。

(1)ユーザーの気持ちになって感性を磨くこと

(2)組織力を生かすこと

2つとも、日本人の強みといえる国民性です。

今はもう失くしてしまったかもしれないこの国民性を究めれば、「35歳定年説」を払拭でき、アジアのSEとも渡り合えるはずだ!という篠田代表の持論に基づき、ヘッドウォータースを立上げました。

閉塞感の強いこの時代では、システムエンジニアの世界だけでなく全ての組織に合致しそうです。

(1)感性を磨くために、SE自身が営業し、自分で仕事を取ってくる。

これにより、顧客ニーズを肌で掴むことができ、システムを作るときにホスピタリティーを発揮しやすくなるからといいます。

(2)組織力を生かすために、事業部制を敷き、リーダーは事業計画をつくり、B/S(貸借対照表)やP/Lをコントロールし、事業部が黒字になるようにメンバーと知恵を絞りあう。これにより、マネジメント能力が身に付く。

システム開発に加え、こうした営業やマネジメントもこなす「1人3役」がヘッドウォータースのSEに求められる条件です。

激務の上に、休日には会社で開かれる「サンデー勉強会」など勉強会は10近くあり、勉強会には会社はノータッチであくまで社員が自主運営をしているそうです。

自主参加だが、休日も勉強しなければ「1人3役」の仕事をこなすのは難しいという危機感が強いため、多くの社員が互いに教え合う場になっている。

「技術バカは不要 ウチのSEは営業も経営もする」(篠田代表)

決まった業務領域の業務をこなすだけでないからこそ、35歳を過ぎても、組織内で力を発揮しつづける環境が整えられているのですね。

以下は、記事に掲載されていた篠田代表のメッセージです。

篠田代表の持論である「利害で繋がった組織はもろい」が興味深いです。

「仮に自分の会社がつぶれても、その分の仕事が同業他社に移るだけで世の中は何も変わらないなら悲しいですよね。

そうした社会的に必要性のない会社は大勢の社員を巻き込んで事業をする資格はないと思うのです。」

「逆に、すごく価値観が高い会社ならそこで人生をかけ、自分が持っているちから出し切ろうという人が集まるはずです。

業績が悪いときも組織がバラバラにならず、仲間と一緒に草で食いつなぎ、次のチャンス

まで頑張ろうとするはずです。」

「われわれは、世界で戦えるSEを輩出し、技術立国の日本を支えることを目指しています。

そこに大きな意味があり、そのビジョンに共感してくれる社員だからこそ、社員は使命感に燃えてハードワークも厭わないのです。」

まとめると、

従来のSE       「営業しない」 「会社にぶら下がる」   「個人主義」

ヘッドウォータース  「営業もする」 「経営者の視点も持つ」 「組織のために尽くす」

就職説明会で「日本で一番厳しい会社」だといくら説明しても、入社を希望する学生が押し寄せるのは、そのビジョンに共感するからでしょう。

日経トップリーダー6月号の記事より

2010年11月10日

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