デフレ時の競争に勝つには!?

ここ最近のデフレの基調の中で、安売り合戦?のような状況になっています。

中小企業はこの価格競争の中に入ると疲弊してしまいます。

竹中平蔵さんがインタビュー記事でこの状況をうまく表現していました。

(日経ベンチャーより一部抜粋)

既存の製品をより安く、より早く提供することを競う従来型の競争を「綱引き型競争」と表現します。

この「綱引き型競争」の場合は、リーダーがいなくても勝てる競争です。

つまり、綱引きは1人のズバ抜けた天才(力持ち)がいるより、中クラスの選手が複数揃っていた方が、勝つ確率が高いからです。

ここでのキーワードは、勤勉さ我慢強さですね。

しかし、「1人でもいいから最も早い玉を投げたチームが勝ち、という競争」ではどうなるでしょうか?

このような競争を「フロンティア型競争」と表現します。

こうした「フロンティア型競争」では、剛速球を投げる1人のリーダーがいれば、それで勝負が決まってしまいます。

その証拠に、米国はビルゲイツという1人の天才的リーダーが生まれただけで1980年代の停滞から一気に抜け出しました。

ここでのキーワードは独創性ですね。

この経済成長が停滞しているデフレ時には、「綱引き型競争」で経営戦略を考えるのではなく、「フロンティア型競争」のエッセンスで経営戦略を考えるようにしたいものです。

といっても、独創性は頑張れば生まれるものではありません。

ヒントは、『1歩引いて局面を論理的に考える事』です。

この「綱引き型競争」と「フロンティア型競争」のちがいが明確な話を一つ紹介します。

宅急便誕生時の話です。

ヤマト運輸が「宅急便」を始めたとき、大方の人間は失敗すると予測したそうです。

その根拠は、「あんな効率の悪い仕事は採算割れになるだろう」という程度の漠然としたものでした。

しかし、小倉氏は、

「収入は、集配車が1日に何個集荷できるかという荷物の「密度の濃さ」で決まる。

 需要は人口の関数。 車両の作業効率は受け持ち区域の広さによって変わるため、

初年度は赤字でも要点を掴めば利益が出る。」

と考えて、粛々と事業展開していったようです。

後日、読み通りに黒字が出るようになると、今度はその理由も考えずにいきなり35社も新規参入してきたそうです。

ヤマト運輸が成功したというだけで本当の理屈を理解しないままで参入してきた競合他社は、当然利益は出ず、ほとんどの会社が撤退していきました。

「フロンティア型競争」の発想で宅急便事業を始めたヤマト運輸と、

「綱引き型競争」の発想でヤマト運輸の真似をして後から参入した競合他社

どちらに軍配が上がるかは、自明の理ですね。

これからは、「フロンティア型競争」の発想でゆきましょう!

情緒的にものを考える人は経営者には向かない

  小倉昌男(ヤマト運輸元社長)

2010年7月6日

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