「有給休暇」への対応

こんにちは。社会保険労務士の荒木です。

会社を経営している際に、何でこんな法律があるのかな?と疑問に思えることがたまにあろうかと思います。

例えば「有給休暇」

これは経営者にとって抵抗感の強い制度です。

会社を休んだのに、賃金の支払いが保証されている。

(会社からすると働かない人に対して、なぜ払わなければいけないの???)

ノーワーク・ノーペイ=働かない人には賃金を支払わなくても良い

というのが、労働基準法でも認められていることです。

なのに働かない人に対して賃金を保証しなければいけないのは、どうしても理解

出来ない経営者が多いのではないでしょうか!?

しかし、確かに急な病気とか、どうしても休みをとらなければいけない事情があると

きに、事前に申告することで有給休暇を取得できるならば、従業員にとって安心

して働くことが出来ますね。

雇用の安定ということからすれば、経営にとっても有効な策であると思うし、特

に子育て世代の女性に活躍を期待する会社では重要な制度だと思います。

○有給の定義

有給休暇は、採用後6ヶ月を継続して勤務して、その期間の全労働日の8割以上

出勤した労働者に対して、6ヶ月を経過した後に10日の有給休暇を与えなけれ

ばなりません。

この日数は、入社6ヶ月を基準として、以後1年ごとに1日、3年6ヵ月からは

2日ずつ加算され、最高20日間を限度とされています。

企業側は得てして、就業規則は未整備であることが多く、

整備を働きかけても従業員に余計は知恵をつけるだけだと拒否されます。

よおぉぉく、その気持ちは判ります。

しかし、就業規則があっても無くても、ネットを見れば有給については、

有るんだと知ることが出来るんですよ。

会社が知らないとか、就業規則が無いからということで、問題の根本から逃げる

ことは出来ません。

ではどうすれば良いのでしょうか?

○有給休暇の意味

もともと有給休暇というのはどのような意味合いなのでしょうか。

そこに問題解決のヒントが隠されています。

有給休暇というのは、本来あるべき労働義務を免除するというものなんです。

だから初めから労働義務が無い場合に、有給を取得することは出来ないのです。

例えば育児休業中の期間というのは、初めから労働義務がありません。

その期間中の一定日数を、有給が溜まっているからといって取得したいと希望さ

れても、応える必要はありません。

パートの場合には、労働日数や時間が短い場合が多く、勤務日が決められていて

も、実際にはシフト表を作成するなどして勤務日を決める場合が多くあります。

そのような場合はシフト表を作成して初めて労働義務が発生すると言えます。

ですからシフト表を組む際に、予定されている行事等で勤務を休むといって、シ

フトを入れなかった日を、有給にしてほしいという要望には応える必要が無いと

解釈することが出来るのです。

そもそもその日は自分からシフトを外して、労働義務を放棄しているのですから。

○雇用契約書にポイントがある

こういうケースで大事なことは、雇用契約書の書き方なんです。

勤務する曜日と時間だけを定めている例が多く有ります。

そこで提案するのは、

「実際の勤務日はシフト表を作成して定める」という一文を入れることです。

シフトを決める際に勤務日時が決定され、労働義務が発生します。

有給で対応しなければいけないのはその日だけということになるんです。

このような場合に有給を取りたいと従業員が言ってきても断ることが出来るんで

すよ。

もっともこういうケースの場合は、従業員との人間関係や、仕事に対する経営姿

勢が問題となるケースも多いので気をつけなければなりませんけど。。。

どうですか?

法律で決めていることだからといって、諦めていたり、逃げていたりしているこ

とがありませんか?

そんなときは経営者目線でアドバイスをくれる専門家を選んでくださいね。

社会保険労務士 荒木秀

2008年11月10日

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