遅刻する社員を辞めさせたい!

社会保険労務士の荒木です。

今回は、「遅刻する社員を辞めさせたい場合」として記載します。

これはとある会社(以下A社とします)で実際に起こった出来事。

普通会社では、フレックスタイムなど取らなければ遅刻は許されないですね。

業務に支障が出るだけでなく社内の規律を乱すなど悪影響が強いですよね。

私も時間に関しては非常にうるさい部類の人間です。

A社においても遅刻は絶対にしないこととして、就業規則にもその旨を記載して

全従業員に喚起していまた。

その会社に問題社員Bが入社してきたのです。

Bは入社早々無断遅刻を繰り返しました。

甚だしいほどの遅刻の回数です。

その回数は1年5ヶ月の間になんと180回。

もちろんA社では口頭で指導を繰り返して行っていました。

しかしBの勤務態度が改まらない為に、A社ではついに業を煮やして解雇しました。

当然ですよね。

ほぼ2日に一回遅刻をしていたのですから。

ところがそのBが解雇無効でA社を訴えたのです。

無断遅刻を繰り返した問題社員なのに、解雇無効を訴えるその無神経さに呆れるの

ですが、驚くのはその判決です。

なんと会社が負けたのです!

判決では解雇無効として、勤務出来なかった間の賃金を支払うように命令が出され

ました。

常識では負けるはずが無いですよね。

何故会社が負けたと思いますか?

理由は実に簡単でした。

Bは一度も始末書を書いてはいませんでした。

ですから裁判になっても、会社が問題社員Aを指導した証拠が無かったからです。

就業規則に遅刻をしないよう懲戒規定に規定していても、実際には始末書の一つも

書かせていなかったとすれば、会社の指導が全くされていないと判断されたのです。

どうですか?

就業規則があるからと、遅刻を繰り返す社員に対し、いきなり解雇をした場合には

社員Bの問題行動よりも会社の取った行動が問題とされてしまうんですよ。

問題行動を取り社員に対して会社が取るべき行動は慎重に行わなければなりません。

まずは社員に対して遅刻を絶対に行わないよう厳しい姿勢を見せることが大事です。

その一つが文書による指導ですし、その典型が始末書です。

会社が本気になって従業員と接する姿勢を従業員が感じ取れるようにすること、

これは会社と従業員の関係がどうなっているかが問われていることになります。

また現在の労働契約法では、解雇の際には就業規則にその理由を、合理的で社会通

念上で相当と認められるもの具体的に記載することとされています。

ところが殆どの企業の就業規則では、具体的な理由を述べていません。

厚生労働省のHPにも就業規則のサンプルが載っていますが、懲戒事由の規定数が

非常に少ないのが気になります。

ちなみに当社が推奨している就業規則のひな型では、実に60項目以上もの具体的

な事例を掲げております。

就業規則にしっかりと懲戒事由を規定していないと、問題社員がいたとしても対処

出来ないことになります。

就業規則をしっかり整備してその運用を徹底していくことで、問題社員だけでなく

社員全体に会社が真剣に向き合っていくことが大事ですね。

社会保険労務士 荒木秀

2008年10月14日

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