同族会社の役員給与が損金にならない!?(特殊支配同族会社)

皆さん、もうご存知だと思いますが、平成18年度の税制改正で、同族会社の社長さんの給与の一部が、「損金」にならなくなります。

「損金」の概念については、こちらを参照下さい。

この改正は、平成18年4月1日以降開始の事業年度から適用されます。
(平成18年4月1日以降設立の会社も適用になります。)

対象となる条件について、記載します。

(1)「法人所得+社長給与」が、800万円を超える場合(左記合計額が3000万円未満)で、
   且つ、
   社長の給与が、「法人所得+社長給与」×50%を超える場合。
   
 ※これは、直近3期分の平均額で計算します。

(2)発行済み株式の90%以上を、同族(8親等の血族及び3親等の姻族)で所有している場合。

(3)常勤役員(みなし役員を含む。)の過半数が、社長の同族の方である場合。

※いずれも、期末時点での判定です。

上記の3つの要件に該当した会社は、所得計算上、社長さんの給与の給与所得控除(サラリーマンに対する経費とお考え下さい。)が「損金」になりません。

当然、「課税所得」が増えてしまうわけです。
ちなみに、決算報告書の利益は変わりません。利益は変わらないけれど、課税所得は増える(当然、税金が増える。)という結果になってしまいます。

この制度は、「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」制度といいます。
詳しくは、こちらをご覧下さい。

この要件に該当する会社さんが、実はとても多いのですね。
顧問先さんで、このお話をすると当然、

「該当しないようにしたい。どうにかならないの?」
というお話になります。

上記に記載した3つの要件うち1つでも該当しなければ、適用対象外になりますので、巷では、

○株式の11%以上を第三者に持ってもらえば良い。
○常勤役員の過半数を親族以外になってもらえば良い。

という、アドバイスをよく耳にします。

しかし、株式を第三者に持ってもらう事。常勤役員を増やす事は、会社経営に、当然、影響が出てきます。

第三者が株主になった場合、その第三者は株主としての権利として、決算書を閲覧することや、会社経営に意見を申し述べる事もできます。

また、第三者に株式を購入してもらう時の価格についても、時価からかけ離れている場合、贈与税がかかる場合がありますし、将来、買い戻してくれ、という時も来るかもしれません。その際も、買い取り価格は、時価からかけ離れていると贈与税の問題が生じます。

後々、色々と面倒なことにもなりかねません。

常勤役員を増やす場合もそうです。

役員さんには、義務もあれば権利もあります。

幹部候補の方に役員になってもらい、モチベーションを高めるのであれば良い効果にも繋がると思いますが、単なる従業員さんクラスの方に、今回の課税回避の為だけに、取締役に就任してもらう場合のメリット、デメリットをよく勘案して下さい。

以上のお話をすると、皆さん、頭を抱えていらっしゃいます。

そこで、実際の増税額について、角度を変えて、考えて見ましょう。
増税だ!増税だ!という先入観に捉われてしまうと袋小路に入ってしまいます。

例えば、今回の改正に該当する会社の社長さんの給与が1000万円だとしましょう。

損金不算入になる金額は、220万円です。

税金の増額額は、220万円×40%=約88万円です
(繰越欠損金がない場合。)

1000万円の給与に対して88万円の増税。この増税額との関係ですね。

弊社の顧問先のある社長さんは、上記の説明を申し上げた後、

「なんだ、88万円かあ~。色々、利害関係を増やすより、88万円を支払った方が後々、自社の為には良いのではないか。」
という事で、対策は講じませんでした。

大事なのは、節税ではなく、お金です。また、会社の継続的、安定的な成長だと思います。
その意味での節税だと思っています。


ちなみに、
税務当局も当然、上記の対策は勘案済みです。

株式の移転に関しては、
「経済合理性(根拠)のない、株式移転は、課税逃れとみなす」。という事(行為計算の否認といいます。)になってしまい、特殊支配同族会社としての税額計算をすることになってしまいますので、ご注意を。





(2006年09月08日公開)

→ 定期的に無料セミナーを開催中。詳しくはこちら。

「誰が対応するの?」スタッフ紹介
お客様の声「蛭田会計の特徴」
616人の社長が購読中 「安心経営」通信 クリックして無料購読申し込み
.