従業員を休ませたい場合

社会保険労務士 荒木秀さん執筆の「従業員を休ませたいときの賃金の支払い」について。


 「最近不況で仕事が減って困った。」

 「突然得意先が倒産したので暫く従業員を休ませたい。」

 「台風の影響でシーズンでの被害から、仕事が出来ない状況になった。」

 「会社に無断でアルバイトをしたので、1週間出勤停止にしたい。」


などという時がありませんか?


まずは基本のお話

会社(事業主=使用者)と従業員の間では労働契約が存在します。従業員は決められた日に働いて、使用者はその労働の対価として賃金を支払う契約です。労働者が仕事をすべき日に、自らの都合で働けない場合には「ノーワーク・ノーペイの原則」といって賃金を支払う必要はありません。
「働かざるもの食うべからず」ということです。


それでは会社の都合などで働きたくても働けない場合にはどうなるのでしょうか。景気が悪くなって減産するため、操業短縮や一時帰休などをしなければならない場合には、従業員は契約上働く義務があるのに働けなくなります。こういった場合にも「ノーワーク・ノーペイ」で賃金を支払わなくてもいいのでしょうか。


休業中の賃金について

労働基準法においては第26条にこう規定されています。
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当てを支払わなければならない」

つまり休業期間中の賃金は休業手当として支払わなければいけないのです。
ここで言う平均賃金とは以下になります。

1、月給制の場合
前3ヶ月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日)で除した金額

2、日給や時給の場合
前3ヶ月間に支払われた賃金の総額を、その期間の労働日数で除した金額

従って休業手当はこうなります。

◆平均賃金×休業日数×0.6


休業手当が支払うのはこんな場合

休業手当は休業する理由が以下のような会社の責任において発生する場合に、支払う義務が生じます。

(1)会社の故意、過失による休業
(2)仕事がない、製品が売れない、資金調達が困難など経営不振による休業
(3)資材の不足による休業
(4)会社の設備、工場の機械の不備・欠陥による休業
(5)従業員の不足による休業
(6)親会社の経営不振による休業

また以下のような場合には休業手当を支払わなくても良いとされています。
(1)天変地異など不可抗力による休業
(2)法律を遵守することによる休業
(3)ストライキによる休業
(4)ロックアウトすることによる休業

天変地異というのは台風や地震による被害が生じた場合を言いますが、単に自然現象だからといって一律的に適用されません。本当のその場合に会社側に責任がないのかどうかが判断されます。

例えば強風の被害が予想されているのに、しかるべき措置をとらなかったばかりに休業しなければならない場合には、会社にその責任があるとされるでしょう。また地震の被害によって部品の供給先が被害にあい、資材が不足する場合など最近よく聞きますが、この場合は支払う義務が生ずる(3)にあたります。


最初の例にある「会社に無断でアルバイトをしたので、1週間出勤停止にしたい。」
のケースでは、会社にその責任は無いので支給しなくても良いように思えますが、この場合には就業規則にその旨を規定しておく必要があります。

したがって、最初の例にあるケースでは一概に支払わなくても良いと言い切れるのは「全く無い!」という結論になります。休んでも賃金を支払わなくてはいけないのが決まりです。

慎重に対応しなくてはいけませんね。

社会保険労務士 荒木秀





(2008年08月11日公開)

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