フレックスタイム制は便利で厄介!?

こんにちは。社労士の荒木です。

労働時間について解説を続けてきてきましたが、今回からはより実践編です。


まず最初にご紹介するのは『フレックスタイム制』についてです。

言葉は皆さんも聞いたことがあるでしょう。

簡単に言うと、仕事の始まりと終わりの時刻を、労働者の自由に任せ、一定の期間(最大1ヶ月)の間で、週平均40時間であれば時間外手当を支給しなくても良いという制度です。

簡単にその効果を整理してみたいと思います。

1.遅刻についての心配が無く、労働時間の束縛官から精神的に開放される。

2.通勤ラッシュを避けることが出来る。

3.朝型、夜型の労働者ごとの生活リズムあるいはその日の体調に合わせて仕事が出来るので無理が無くなる。

4.仕事と個人生活の調和がとれ、無断欠勤などが減少する。

5.労働者の自主性が尊重されることから労働者の責任感が強まり、仕事の意欲も高まり能率が上がる。

6.職場が民主的になり、魅力あるものとなり、チームワークも強まり、欠勤も少なくなる。

7.時間外労働が減少する。


というような、効果が会社側、労働者側の双方から生まれるので、非常に便利で、有効な時間管理の手法だともいえます。

一定の労働時間の枠であれば、あとは各自で自由に勤務時間を選択できるので、仕事が忙しいときと暇なとき、個人の生活の都合上に合わせて調和を取りながら効率的に働くことが出来るという制度です。

ここまで言うと良いことばかりのフレックスタイム制ですが、実際には運用面で、余程しっかりと理解しなければ、間違ったすすめ方をしてしまいます。


私も何度かフレックス制を導入していく機会がありますが、毎度難しいなと実感いたしますので、この機会に一緒に皆さんと確認をしていきたいと思います。


フレックスタイム制を導入する際には、就業規則等で仕事の始まりの時刻(始業)と終わりの時刻(終業)を労働者の決定にゆだねることと規定します。

そして、労使協定にて次のことを定めることが必要となります。

○対象となる労働者の範囲
○清算期間(フレックスの期間)
○清算(フレックス)期間中の総労働時間
○標準となる一日の労働時間
○コアタイム、フレキシブルタイムを設けるときには、その開始と終わりの時間

ここでいうフレックスの期間は最長で一ヶ月で、この期間内であれば、一日の労働時間が長いとき短いときを通算して、定めた総労働時間の範囲内であれば、残業がつきません。

フレックスを導入検討する企業で時々質問いただくのは、始業時間は皆一緒にして、終わりの時間だけを自由にさせたいと言う話があります。

しかしこれは認められません。

フレックスは始業と終業の双方を労働者に決定させなければ導入できないのです。

必ず全員が勤務しなければならない時間帯を設けることは許されており、その時間帯をコアタイムと言い、労働者が自由にできる時間をフレキシブルタイムと言います。

コアタイムが極端に長く、実質的にフレキシブルタイムをが殆ど無い場合、例えば、朝と夕方の各30分ずつしかフレキシブルタイムが無い場合は、フレックスタイム制とは認められませんのでご注意ください。


また出退勤の時間を労働者に自由に任せるのだから、会社は時間管理から開放されると思われる経営者もいますが、これも間違いです。

決められた総労働時間の枠を超えたら当然にして、時間外手当は支給しなければなりませんし、万が一長時間労働になって労災事故になったら、会社に責任が生じます。

自由な部分がありながら、しっかり管理しなければならないことが、この制度の基本的な難しさではないでしょうか。

便利さと厄介さを共有するフレックスタイム制。

次回以降で管理すべき諸問題に触れていきたいと思います。


社会保険労務士 荒木秀





(2010年10月13日公開)

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