賃金カットや一時休業があった場合の社会保険

社会保険労務士の荒木です。


「今月から賃金額を変更したので、新しい社会保険料を教えてください」

日常的にこのようなご連絡を関与先から頂きます。

或いは毎月送って頂く賃金データにて、賃金額を確認させて頂き、社会保険料を変更する必要があるかどうかチェックをしています。


賃金を変更したときには、社会保険料も変更になる場合があるので、
その際には、随時改定という手続をします。

賃上げしたり、賃下げしたりするときには、社会保険料ってどうなるの?
との問い合わせがあるのですが、気がつかないうちに社会保険料を
変えないといけない場合が最近多発しています。


それは賃金をカットしたり一時休業をした場合なんです。


賃金額を変更すると、社会保険料も変更になるのですが、
それには一定のルールがあります。

通常は毎年一回、4、5、6月の賃金額を平均し、算定基礎届け
をし、標準報酬月額を決定され、9月の社会保険料
(控除するのは10月)からの変更になります。

これを【定時決定】といいます。

定時決定された社会保険料は、保険料率が変更にならない限り、
次の定時決定まで同じ社会保険料になります。


では、随時改定とは?

ところが以下の要件に当てはまる場合には、【随時改定】という手続をとって、
社会保険料が変更になります。

 1、固定的賃金の変動または、賃金(給与)体系の変動があったとき。
   (賃金カット含む)

 2、変動月以降継続した3ヶ月間のいずれの月も報酬の支払基礎日数が
   17日以上あるとき

 3、3ヶ月前に受けた報酬(残業手当などの非固定的賃金も含む)の平均額が
   現在の標準報酬と比べて2等級以上の差を生じたとき

昇給(降給)などにより、報酬額に「著しい変動」があった場合には、その月以
降の継続した3ヶ月の報酬をもとにして、4ヶ月目から標準報酬を改定すること
になります。

この改定は随時に行う(定時決定と違って、実施時期が決められていない)こと
から【随時改定】と言います。

4月に給与改定する会社が多いのですが、ここで大幅に昇給・降給する場合には
随時改定、小幅な変動の場合には定時決定にて社会保険料が変更されます。

随時改定だと7月から、定時決定だと9月から、社会保険料が改定に
なるので注意してください!!


○上がり上がり、下がり下がりの原則

標準報酬月額が2等級以上の差を生じたときの判断が難しいところです。

以下のようにして判断をしてください。

  固定的手当が上がり、2等級以上平均標準報酬月額が上がった場合、
  固定的手当が下がり、2等級以上平均標準報酬月額が下がった場合、

というのが2等級以上の差という考えのベースになります。

 
<例> 5月に定期昇給がありました。5、6、7月は残業がほとんどなかった
    ため、標準報酬が2等級以上下がってしまいました。

 この場合は、「随時改定」に該当しないため、「定時決定」で10月より改定
 となります。 


○最近多い、賃金カットや一時帰休時の対応

最近ウチの事務所で頻発している手続が、この随時改定ですが、例年ですとこの
時期に行われることが極めて珍しいことなのです。

なぜこの時期にこれだけの作業が発生しているかというと、このところの経済状
況の悪化に伴い、賃金カットや、業務を一時的に休業しているところが多くなっ
ているためです。

休業した場合は平均賃金の6割以上を休業手当として支給しなければならないの
ですが、休業日数が多くなると、3ヶ月間の平均が固定的賃金の変動を伴う「著
しい変動」に該当となり、随時改定の対象となるケースがあるからです。

そのような会社については、「上がり上がり、下がり下がりの原則」を参考にし
て、随時改定の対象となるかどうかをご検討下さい。


○定時決定・随時改定と一時帰休の関係

一時帰休に伴う休業手当が、定時決定の基礎となる4、5、6月の賃金で支給さ
れている場合には、その手当などを反映させて標準報酬額を決定します。

また一時休業が4月のみの場合には、5、6月の賃金だけで定時決定されること
になるのでお気をつけ下さい。

随時改定した後で、一時帰休の日数が減ったり、一時帰休の状態が解消された元
の業務体制に戻ったりした場合には、再度随時改定を行って社会保険料を変更す
る手続をとります。

このあたり、文章で読むと非常に複雑に感じると思われます。

業績が厳しいときには労働時間も短い中で多くの業務を行わなければいけない為、
細かいところに目が行き届かない可能性があります。

社会保険労務士 荒木秀





(2009年06月01日公開)

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