非正規雇用に思う

こんにちは。社会保険労務士の荒木です。

先日総務省から平成20年版「青少年白書」が発表になりました。

この白書は内閣府が出しているもので、通常私の仕事に関係する白書と言うと殆どが厚生労働省のもので、一部中小企業庁があるくらいです。

普段は全くスルーする青少年白書ですが、少し興味深い内容であったので取り上げてみたいと思います。

青少年って一体何歳までを言うのでしょうか。

この白書では29歳以下としています。

(ただし内容としては34歳までについても言及しています。)

それはいわゆるフリーターに関する内容で、25歳~34歳までのフリーターを「年長フリーター」と呼び、その層が固定化してきているのだそうです。

この層が今後も正規雇用に移れずに、固定化してしまう可能性を白書で警告しているのです。

15歳~34歳のフリーターは181万人で、03年の217万人から4年連続で減少しています。

15歳~24歳までは4年で30万人(25%)減少しているのに対し、25~34歳は6万人(6.1%)の減少にとどまっています。

年少のフリーターは正規雇用の機会が有るのですが、25歳以上になるとフリーターから一生抜け出せなくなる可能性を強く示しています。

年長フリーターがこのまま日本社会で非正規雇用のままでいたらどうなってしまうのでしょうか?

29歳以下の人口は3860万人とのことなので、フリーター比率はそれほどでもないと言われるかもしれません。

でも他の年代に比べ、確実にこの年代にフリーターが多く固定化したらどうなるのでしょうか?

また白書では 若年層で働く人のうち、非正規雇用者の割合は、07年は15~19歳で71.8%、20~24歳で43.2%で、他の年齢層に比べて高い水準だったと述べています。

若い年齢の就職機会がその上より恵まれているといっても、不安定な非正規雇用が増えていることに変わりはありません。

当然にして、非正規雇用の場合は収入が低く不安定だということ。

その層が結婚をし、子育てをする年代になったとき、どのような生活をするのでしょうか?

学力の低下や犯罪が多くなるなどの可能性を否定できません。

もちろん税収という国の財政の問題も出てきますし、消費社会がますます貧困になってしまいます。

非正規雇用全体を否定するつもりは有りません。私の事務所でもパートの方はいます。

私どもも、働く側も、パートという働き方のほうがお互いに都合のいい場合があり、結果それぞれにメリットをもたらし、今後の成長や雇用の安定につなげることが出来ます。

特に女性が社会に関わっていくためには、非正規雇用というのは受け皿になろうかと思うのです。

しかし、卒業後一度も正規雇用として働く機会を得ないままに、年齢を積み重ねる人々が多く存在することを、もっと問題視するべきだと思うのです。

先日も厚労省からは、労働者のうち非正規雇用が4割近くに達したという調査結果が公表されております。

またトヨタグループやいすずなどで、期間従業員を大幅に削減するとの報道がなされたばかりです。

非正規雇用の方が雇用の調整弁になりやすいのというのは確かだし、昨今の景気の急ブレーキで期間従業員が職を失うのも企業の論理では仕方ないのかもしれません。

それでも自分たちの国がこの先どのようになっていくかと思うと、先が思いやられます。

国でも年長フリーターを正社員として雇用した企業に新たに助成金を支給する方針を固めたそうです。

その額は雇用一人当たり50万~100万程度と、従来よりもかなり手厚いものとなっております。

3年程度の時限措置とのことらしいのですが、この制度を利用しながら多くの正規雇用者が生まれて欲しいなと願う次第です。

社会保険労務士 荒木秀

2008年11月25日

マンガで分かる税務調査省略
「誰が対応するの?」スタッフ紹介
お客様の声「蛭田会計の特徴」
616人の社長が購読中 「安心経営」通信 クリックして無料購読申し込み