人材派遣の常識非常識

今回は、「人材派遣」について考えてみたいと思います。

派遣は供給される側(派遣を受け入れる側)にとっては、労働力を確保する手段として非常に扱いやすいものです。

直接雇用する場合には発生する雇用リスクも、派遣従業員を使用することで回避出来るために便利な存在になっています。


便利な制度という認識が選考するあまり、法律で定めていることの認識が足らずに知らないうちに法律に違反していることになりかねません。


今回は「派遣についての常識非常識」と題して、人材の派遣について、
「禁止されている派遣業務がある!」
「派遣には期間が決められている!」
「事前の面接は出来ない!」
「安全衛生義務は派遣先にもある!」

という4つの点について解説します。

グッドウィルという会社・グループは派遣が一般的になる過程で業績を大きく伸ばしてきた企業ですが、最近色々と摘発を受けています。

先日も港湾作業への二重派遣を行なった件で摘発されていましたが、派遣法では派遣禁止業務を定めており、これに違反したとされています。

派遣が禁止されている業務とは、
○港湾運送の業務
○建設の業務
○警備の業務
○医療関係業務または看護師等の業務(一部の派遣を除く)
○弁護士、税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士などの業務

とされています。


特に建設、港湾、警備の3業務については江戸時代の口入れ屋のように、昔から労働者を供給することで中間搾取をする人貸しの対象となりやすいために、派遣業対象とすることが禁止されています。


また、派遣労働者を受け入れる期間は業務によって制限がある場合があります。

物の製造の業務は3年というものが代表的ですが、政令で定められている26の業務以外に関しては3年以内とされています。
(26の業種の内容に触れたいのですが、スペースの都合上ここでは割愛します。)


また産休・育児・介護休業者等の代替派遣や、一ヶ月に10日以下の派遣の場合も派遣期間の制限はありません。


ところで派遣を受け入れるときには、どんな人が来るのか知りたいですよね。

従業員を雇用する際には当然に面接など行い、事前に人となりを見て雇用の判断を行ないますが、派遣従業員を受け入れる際には事前の面接を行なうことは禁止されています。

派遣元に対して能力等を要望することは禁止されてはいませんが、受け入れ先は、派遣従業員をえり好みすることは出来ずに、派遣元から派遣される従業員を受け入れるしかないのです。


まあ派遣従業員を受け入れてから、能力等に問題があるために変更を申し入れることは可能となっていますが、結構この事前面接禁止の点は知られていない面があるようです。


派遣従業員は雇用関係はあくまでも派遣元企業にあるので、受け入れる側(派遣先)には管理責任が発生しない仕組みになっています。

ところが先月労災事故に関して派遣先企業にも責任が問われ、書類送検されるという事件が発生しました。

滋賀県の蛍光ランプの製造業において、製造ラインの修理作業を行なう際に、機械を停止する必要があることを指示していなかったために、死亡するという痛ましい事故でした。

安全衛生に関し、派遣元は雇い入れ時の安全衛生教育を行わなければならず、定期健康診断なども行わなければならないのですが、派遣先も安全衛生管理の責任を負い、危険や健康障害を防止する措置を行なわなければならないのです。

人の命や健康はかけがえの無いものですから、現場の安全衛生に関しては、対象が派遣労働者であっても、派遣先が責任をもっていかなくてはならないということでした。


以上簡単に取り留めなく派遣についての常識非常識を並べました。

今現在派遣を受け入れている企業も、これから受入を考えている企業も、導入には慎重にお考え頂くことをお勧めします。


(執筆:社会保険労務士 荒木秀





(2008年03月14日公開)

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