迫る2009年問題!

社会保労務士の荒木さん記載の「迫る2009年問題!」を記載します。

先日の日経ビジネスに「迫る2009年問題」と題して、派遣・請負社員への対応が緊急の経営課題であることが特集されていました。

様々な分野で「偽装問題」にゆれている昨今の日本ですが、雇用における偽装問題も大きな話題になりました。いわゆる偽装請負の問題です。

非正規雇用の形態として、派遣社員を活用する場合と、請負に出す場合とがありますが、利用する側がその正確なあり方を知らないために、正しい運用がなされていないケースが多く存在します。

ここでは製造業を例にとってこの問題を考えてみたいと思います。

派遣社員の場合は、派遣会社に雇用され、製造業の会社に派遣され、製造ラインにおいて、製造業の社員から指示命令を受けて作業を行ないます。

これに対して製造業が請負会社と契約して生産の丸ごと一部を任せるのが、請負会社の業務請負です。

この場合は製造業の社員は、請負会社の担当するラインに対しては、作業中の指示命令をしてはならないことになっています。

しかし製造業が使い勝手を優先させて、請負社員を派遣社員のように扱い、自社の社員から直接指示を出して製造ラインを動かす、いわゆる「偽装請負」が発生しています。

2003年頃から行政の指導が始まり、一昨年頃からはマスコミでもキャンペーンが始まりワーキングプアの言葉とともに社会問題化してきました。

そこで多くの製造現場では請負ではなく、派遣で労働力を調達することが一般的になりました。

しかし、それでは問題は解決していません。

派遣社員を製造現場で活用するには雇用期間に期限があるのです。

派遣労働者を扱う法律、労働者派遣法では、派遣業として扱う業務に制限があることに加え、多くの業務には派遣社員を利用することの期限が定められています。

派遣社員を活用したくても、業務の種類によっては、永続的な活用は出来ません。

派遣期間が3年とされている業務では、3年を越えて派遣社員を受け入れることが出来ず、これは個人単位のことでなく、業務単位に期間をみるのです。

ですからAさんを派遣として受け入れて3年になるので、今度はBさんに切り替えるということが許されていません。

ある業務でAさん・Bさん・Cさんの派遣が通産で3年に達した時点で、会社は派遣社員を受け入れることは出来ないのです。

製造現場において派遣が解禁になったのは、2004年のことで、この時は派遣期間が1年と定められていました。それが2006年に3年に延長されたので、来年の2009年には派遣受け入れ可能な期間の期限が来ることになっています。

偽装請負を派遣に置き換えることで、製造現場の多くが対応し、問題解決の先延ばしをしてきたのですが、法律の定めるところではもうすぐにでも対応を決めなくてはいけません。

派遣社員を受け入れ会社の従業員として雇用するか、ラインを全て請負会社に任せるかの二つに一つしか方法はないのです。

厳しいコスト競争から行なわれてきた雇用の多様化という実態からすれば、法律どおりに対応することは、経営の根幹を揺るがす問題です。

品質を保ちながらコスト競争力を維持するなかで、雇用の現場を今日明日で切り替えることなど出来ませんので、今から慎重な対応を急がなければなりません。

コンプライアンスと競争力の維持という、どちらも大事な経営課題での重大な選択が求められている時ですね。

2008年2月26日

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