遺産分割協議書の作成と名義変更の方法

今回は、行政書士の小松原さん記載の「遺産分割協議書の作成と名義変更の方法」です。

1 遺産の分割協議書の作成

  

遺産をどのように分けるか、相続人の間で話し合います。話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成します。

相続は、被相続人が亡くなった時点で開始します。2人以上の相続人が存在するときは、それぞれの相続分で相続遺産を共有していることになっています。その財産を各相続人のものにするためには、遺産を分割しなければなりません。

原則として、遺産の分割は遺言があるときには遺言に沿って分割しますが、遺言がないときには法定相続分に沿って分割します。ただし、必ずこれらの規定にしたがって分割しなければならない訳ではありません。相続人全員の同意があれば、どのように分割しても構いません。

これらの遺産の分割について相続人同士が話し合うことを「遺産分割協議」といいます。遺産分割協議がまとまったら、「遺産分割協議書」を作成します。

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遺産分割協議書を作成するときの注意点

遺産分割協議書の作成のルールは、タテ書きでもヨコ書きでも構いませんが、以下の点に注意が必要です。

□ 相続人の住所は住民票に記載されたものを書くこと。

□ 不動産については、登記簿謄本に記載されたものを書くこと。

□ 押印する印鑑は、市区町村役場に登録してある実印を使うこと。

□ 市区町村役場発行の印鑑証明書を添付すること。

□ 相続人全員(包括受遺者がいる場合を含む)が押印すること。

2 名義変更のやりかた

遺産が自分のものになった後は、不動産・預貯金・株式などの名義を自分のものに変更しないと処分できません。

戸籍謄本や住民票の写し等はさまざまな名義変更手続きにおいて必要とされる証明書のため、事前に何通必要となるか確認しておきます。

遺産分割協議書が作成されると、その内容に従ってそれぞれの相続財産はそれぞれの相続人の所有となります。しかし、遺産を受け継いだ相続人が、その相続財産をそのまま処分することはできません。

例えば、預貯金の引き出し、不動産や株式の売却をするには、被相続人名義を相続人名義に書き換えなければならないのです。相続財産の名義変更は、早めにすませておくことをお勧め致します。

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(1)不動産の相続登記

不動産の名義変更は、自分で登記所(法務局)に相談しながら行う方も見受けますが、時間の取れない方や自分で行うのが不安な方は、司法書士に依頼するのをお勧め致します。

不動産の相続登記をするには、登録免許税がかかります。詳しくは、登記所(法務局)にご確認下さい。

(主な添付書類)

□ 被相続人の除籍謄本または戸籍謄本

□ 相続人全員の印鑑証明

□ 相続人の戸籍謄本、住民票の写し

□ 遺産分割協議書

□ 登記する不動産の固定資産税評価証明書

□ 登記する不動産の登記簿謄本

※不動産の権利証(登記済証)から亡くなった方名義の所有不動産を確認してみるとよいでしょう。

(2)預貯金の名義変更

銀行は、預金者が亡くなったことを知ると、その預金を凍結してしまいます。葬式費用などを引き出そうとしても出来なかった、などというケースがよくあります。

銀行には預金者が死亡した事実を伝えるとともに、各銀行の手続きや指定用紙に従い、名義変更の手続きをすすめていくことが必要です。

(主な必要書類)

□ 被相続人の除籍謄本又は戸籍謄本

□ 相続人の戸籍謄本

□ 通帳及び届出印

□ 遺産分割協議書

□ 相続人全員の印鑑証明書

※貸金庫がある場合には、別途手続きが必要となりますので、各金融機関に事前に確認することが大切です。

(3)株式の名義変更

名義書換代理人として指定されている信託銀行(取引口座のある銀行)に、株式名簿に記載されている亡くなった方(被相続人)の名義を、相続人の名義に変更してもらいます。その手続きは取引のある証券会社が代行してくれます。

(主な必要書類)

□ 株式

□ 株式名義書換請求書

□ 被相続人の除籍謄本又は戸籍謄本

□ 相続人の戸籍謄本

(4)電話や自動車の名義変更

 電話や自動車も名義変更が必要です。電話局や陸運局事務所にて各所定の手続きや指定用紙にしたがって名義変更の手続きをすすめていくことが必要です。

(例)陸運局事務所の場合

(主な必要書類)

□ 自動車検査証

□ 移転登録申請書

□ 被相続人の除籍謄本又は戸籍謄本

□ 相続人の印鑑証明書

(行政書士 小松原励

2008年4月21日

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